GMブログ

2008-07-12

[]TRPG進化論 05:52

RPGは衰退しました

 TRPG界隈では「TRPGは衰退している」「いや、していない」といった話が、思い出した頃に起こり、噛み合わないまま、やがて沈静化するという流れを繰り返しています。

 普通に考えますと、流れが繰り返されるのは、それを目新しく感じ、ホットな話題として扱う新しい層が次々と流入している・・・つまり、衰退していないと判断されがちです。しかし実態は、ベテラン層が繰り返し、若者離れという業界の現状を嘆いているだけで、当の若者の声が聞ける機会はめったにありません。

 我慢できずに吐露されたベテランの不安が、一方の当事者若者)が不在なまま、立ち上がっては消え、立ち上がっては消えを繰り返しているので、余計に閉塞感が煽られるのではないかと思います。

RPGは発展します

 TRPGは衰退しているのか、していないのか。言葉定義曖昧なまま、統計によらず、推測のみでものを述べると、また要らぬ水掛け論を呼ぶ恐れがあるので、あくまで個人的に感じていること、として展望を語らせていただきます。

 多くの場合、「TRPGは衰退している」という言説が起こり、それに対して「いや、していない」と返すパターンが多いので、ここでは思い切りオプティミズムに振り切って、「いえいえ、TRPGは衰退どころか、進化していますよ」という極端なエントリを書いて見たいと思います(笑)妄言ドライブが火を吐いた状態で、一気に書き殴っているので、根拠レスな戯言を戯言として楽しめる方のみ、お楽しみください~。

若者が消えたわけではない

 地方のコンベでは若者を見なくなった。社会人になってTRPGから離れた。TRPG系のエントリを回遊すると、そのような衰退を感じさせる話を(私の確認できる範囲だけでも)週に10は見かけます(年間で500近い数です!)。

 では、若者はどこに消えてしまったのでしょうか。

 ここ半年ほどの間、かなりの数のエントリで証言を得ているのですが、「オンライン・セッションを行っている」らしいのです。もちろん、絶対数は減っているのかも知れません(コンベに来ないだけで普通にいるという話も多く聞くので眉唾です)が、相対的な比率で考えると、以前より増しているようなのです。コンベンションと比較して、オンライン・セッションというプレイ形態の割合が、特に若者の間で増していることに、私は一筋の光明を見ました。

 現時点で、TRPGは衰退しているのか、していないのか。それは、私には分かりません。ただ、オンライン・セッションの普及が、TRPG界隈に革命的な変化をもたらす未来は、そう遠くはないと確信しています。

オンライン・セッションの利点と欠点

 〇まず、文字チャットによる、オンライン・セッションの利点を挙げます。

 ●遊び相手を見つけ易い

 (理由:遊び相手は近所の人に限る必要が無く、全国のユーザー対象となる)

 ●集合場所をあまり選ばない

 (理由:音漏れの心配など無ければ、ネット環境が整った自宅で各々プレイできる)

 ●開始時間の都合がつき易い

 (理由:移動の時間や手間が必要ないので、昼夜を問わずに空いた時間を使える)

 ●プレイ以外の点で比較的自由

 (理由:同席に際してのマナーに比較的気を遣わずにすみ、寝転がるなどリラックスできる)

 ●コンベンションと違い卓を選び易い

 (理由:使用するシステムプレイヤーの傾向などを、事前に知ることができる)

 ●ログが残る

 (理由:プレイ中は情報を読み返し流れを把握し易く、プレイ後は鑑賞することができる)

 〇続いて、文字チャットによる、オンライン・セッション欠点と、裏返した利点を挙げます。

 ●空気が読みづらい。反面、発話で失敗しないので、キャラクタープレイの難度は低い

 (理由:顔が見えないので込められた感情と文意が掴みづらい。声が聞こえないので違和感がない)

 ●直感的に扱える手間の少ないツールが使えない。反面、複雑な処理を一瞬でこなすツールは共有し易い。

 (理由:へクスやカードなどを皆の目の前に置けない。ただし、多様なアプリ使用できる)

 ●セッション時間オンセ三倍則と言われるほど長くなる。反面、じっくり考える時間がある。

 (理由:発言のタイミングタイピングスピードによりタイムラグから間が発生する)

 ●大量の情報を素早く交換できない。反面、セッションに支障なく見学雑談が可能。

 (理由:いつでも手間無く細かなニュアンスまで含め、情報を交換できるわけでは無いが、声は出ない)

 ●ルールブックの所持あるいは把握が必要。ただし、オンラインで共有できるものもある。

 (理由:貸し借りできず、質疑は手間。ただ、ネットで公開されたシステムもある)

実は新規参入者はそれなりにいて、心配する必要がないのでは

 よく、TRPGは手間のかかる趣味で、始めにくく、継続しにくいと指摘されます。しかし、実際には、上記のようにインターネットを使うことで、クリアできるケースが多々あります

 遊ぶ相手がいないなら、ネットで探せます。遊ぶ場所がなければ、ネットで遊べます。遊ぶ時間が合わなければ、ネットを用いて都合をつけます。

 さらに言えば、最大のネックである「セッション時間オンセ三倍速と言われるほど長くなる」が、社会人ほど痛手にならない若者学生フリーター)にとって、オンライン・セッションの特性は、福音と呼べるものでしょう。

 もとより、学生同士のつながりや、自由な時間を使って、サークルや身内でのプレイに勤しむことの出来る若者が、コンベンションに顔を出す機会は、社会人ほど割合的に多くなることはありません。加えて、今は前述したオンラインという魅力的な場が用意されているのです。こうした状況も合間って、人口から導き出される絶対数の減少に合わせる程度には、若者が既存の枠組みの中にいる年寄り達からは、見えにくい場所に隠れてしまうことも、また必然と言えるのではないでしょうか。

 上記の理由から、新人不足を理由にTRPGの衰退を語るのは、説得力に欠けると思います。また、専門誌も新作も豊富なこの時代に、新人への対応に不備があるとして、TRPGの衰退を語るのも、いささか無理があるのでは、と考えております。

従来のオンセ社会人福音にならない

 では、一方で「社会人になってTRPGから離れた」と言う人々の存在はどうでしょうか。彼らにとって、従来のオンライン・セッションが、救いの手となることは稀です。

 最大のネックである「セッション時間オンセ三倍則と言われるほど長くなる」が、社会人にとっては、相当な痛手になるため、安易にプレイ環境をオンラインに移行することができないのです。

 日に14時間労働していた頃の私にとって、何時間もかかるオンライン・セッションは、事実上プレイ不可能なものでした。20代前半の体力のある時代には、それでも睡眠時間を削ってまで、2chなどに入り浸って遊んでいたものですが、さすがに今は無理です。

 さらに、オンライン・セッション時間無駄にせず、セッションに集中するためには、いくつかのコツがあります。行動宣言やシナリオを予め書いておくこと。ルール等その場で質問するかも知れないことは予め確認しておくこと。次に誰が何について発言するべきか明確にしておくこと・・・。

 これらが出来ていない参加者が一人でもいた場合、セッションは恐ろしくもどかしいものとなります。ですから、オンライン・セッションのコツは、いわば必須の技術として認識され得るものであることを、経験者の方に対しては、説明するまでもないでしょう。

 この必須とも言えるコツの有無が、セッションの成否にさえ関わる現状を鑑みるに、オンライン・セッション社会人への敷居は、ますます高いものとして感じられます。

社会人は切り捨てられてきた

 では、十分なプレイ時間をとれないために「社会人になってTRPGから離れた」と言う人々は、残念ながら、切り捨てざるをえないのでしょうか。

 実は、まったく、そうではありません。むしろ、この「社会人になってTRPGから離れた」と言う人々を呼び戻す環境が整いつつあるために、TRPGを取り巻く環境は、さらなる進化をとげようとしているのです。

智場 #111 人のつながり −理論,社会,インターネット

 国際大学GLOCOM研究員の井上明人氏は、コンシューマー・ジェネレイテッド・メディアの成否を握るのは、サービスの受動的ユーザーの獲得(新人獲得)とともに、中間層に位置するユーザーの活躍にあるという仮説を述べています。

 シムピープル開発者として世界的に知られている、ウィル・ライト氏が提示したモデルによると、受動的にゲームを楽しむ一般的な大半のユーザーの中から、数パーセントマニアックな中間層プレイヤーとなり、さらにそのうち数パーセントが、ファンサイト管理者や、各種クリエイターとして、コミュニティに高い貢献をもたらすとされています。

 いくら新人が増えても、その上の中間層が薄く、クリエイターなどの上部に位置する人々が幅を利かせている場合を想像してください。クリエイター層(TRPG業界に従事するプロライターなど)がTRPG界隈において何かを成し遂げても、「すごい人がいて面白そうだ。でも自分には真似できない」と思われてしまい、敷居を下げることができません。ウィル・ライト氏が提示したモデルと違う歪な構造になってしまい、結果として、TRPGは衰退へと向かうかも知れません。

 そこで、初心者ロールモデルとしての役割を果たし、初心者にTRPG楽しみを教えるガイドとしての役割を果たし、さらに、高価値、あるいは多様なコンテンツを用意することで、TRPG全体に多義性や奥行きを持たせる中間層が、上と下とをつなぐ必要があるというのが、ここでの結論になります。

 TRPG界隈における中間層とは誰でしょうか。老害と呼ばれるまでTRPGにこだわり、地域のサークルに残ったベテランではなく、社会人になることで受け皿を失い、TRPGから去っていった、あの諸先輩方ではないでしょうか。

初心者離れではなく、社会人のTRPG離れこそ、閉塞感の要因

 つまり、ライトなファンではなく、かといってコア過ぎず、時間を割いて、労力を払ってまでTRPGを続けることは出来なかった、「社会人になってTRPGから離れた」と言う、マニア的な中間層に位置する人々の減少こそが、TRPG業界に閉塞感をもたらす要因であった、という見解を、ここに示させていただきます。

 そのうえで、ネットを介してカジュアルフォーマルの中間に位置するプレイグループが出現し、音声通話によるセッション環境が整いつつある今は、上と下とをつなぐ人々が、プレイを行う受け皿を得て、再び活躍するチャンスが巡ってきたと言えるわけです。

 遊ぶ相手がいないなら、ネットで探せます。遊ぶ場所がなければ、ネットで遊べます。遊ぶ時間が合わなければ、ネットを用いて都合をつけます。

 セッション時間をかけられない? 大丈夫skypeによる音声通話なら、オフと同じ時間プレイできます。しかも、移動時間まで短縮できるのです。

 PC所持の有無や、回線の問題は、ゲーマーズフィールドでオンライン・セッションが特集された時代よりも、遥かに整っています。声が漏れて不審に思われる心配も、一人暮らしの新社会人にはありません。

 遊ぶ相手がいない。遊ぶ場所がない。遊ぶ時間がない。けれども、あの頃の情熱は忘れてなんかいない、という人が、もしこのエントリを読んでいたなら、一緒に遊びましょう。私と貴方の距離は、既にプレイを妨げるものではありません。いつでも、TRPG SNS CLUBにいらしてください。歓迎いたします。

RPG進化とは何か

 新作が次々と発売されていくなかでも、変わらず衰退の懸念がされ続けるTRPG業界において、真の変革をもたらすモノとは何でしょうか。真新しいシステム?専用のチャットシステム?どのTRPGも、素晴らしいもののように感じられます。特にTRPG業界に関わる人々からは、TRPGに対する愛を感じます。プロの方々は、本当に素晴らしい商品を、我々ユーザーに与えてくれます。

 では、イノベーションは起きていたでしょうか?

 TRPG世界イノベーションが起きて、今までの枠組みにない新しい価値が生まれたと消費者が感じた動きは、幾つあったでしょう。新しい価値を感じれば、買う人が増えるかもしれません。そうでなければ、ターゲットは従来のファンのみの範囲になってしまうでしょう。

 私は、今まさに、ネットを介した人々のつながりが、構造的変化をとげる中で、プロによらず、アマチュアに端を発する市井の変革が起きようとしているのでは、と考えています。

 ニュースクール大学院教授池上英子氏は、著書「美と礼節の絆」の中で、ネットワークがある種の閾値を越えたときに大きな力を持ち、江戸時代においては、俳諧のような趣味を通じたコミュニティ間の、地域や身分を越えたつながりこそが、その変数として機能したと述べています。TRPG界隈においてのそれは、長らくTRPGサークルかと思っておりましたが、ここに来て、私はカジュアルフォーマルの中間に位置するプレイグループや、音声通話による地域の垣根を越えた、まさに新しい「つながり」こそが、それに当たるのではと考え始めているのです。

 我々アマチュアが、つながりを持って、中間層の受け皿を作るなり何なり、様々な活動を行うことで、TRPG世界において、とんでもない進化が起こるかも知れません。

CM 05:52

というわけで、実に宣伝くさいのですが、自分のブログなので臆面も無く紹介しちゃいますね。

「つながり」を感じたい人はTRPGSNSへ。中間層としての活動が行いたいけれど、ちょうど良い場所が無いな~、という人は、はてなグループのgamemasterグループを利用すれば良いんじゃないかしら。かしら。

紙魚砂紙魚砂2008/07/16 21:07どうもです。

基本的に同意なんですが、ネットのコミュニケーションは文字主体だから良いという側面もあると思ってて、それが画像&音声によるコミュニケーション手段が確立するまでの過渡期的現象なのか、あるいは画像&音声によるコミュニケーション手段とは別のスタイルとして残るのかどうかというところに興味があります。ぶっちゃけskypeはどうも苦手というか^^;。目の前に人がいないのに口でしゃべるのが嫌というかw

テキストに書くと音声変換してくれるとか音声を文字チャットとして記録に残してくれるとか相補的な機能が付くといいかもしれません。テキスト主体だと外国人ともやれる?とか、話すことが出来ない人ともやれるとか、そんなのはあると思います。

inouekariinouekari2008/07/19 05:44相補的な機能ですか。うわー、夢が広がりますね。素敵なアイディアに触発されて、楽しい想像が膨らみました。ありがとうございます。文字主体のコミュニケーションの今後も、興味深い話題です(>過渡期的現象なのか)。私自身、今までのネットにおける文字主体のコミュニケーションに対して、愛着を抱くと同時に、その良さを体感してきたものですから、できれば別スタイルとして残って欲しい気持ちがあります。Aの魔法陣は文字チャットと相性が良いですし、シルバーレインも工夫されたシステムであると伺っています。文字チャットの良さを活かす方向で(マスタリング、プレイ・テクニック、システム・デザイン、環境作りなど)の可能性は、まだまだ広がると思います。紙魚砂さんが時折エントリで公開されている、オンセのノウハウを読むたびに、いつも新しい気づきを得て、ノウハウの蓄積された環境が整えば楽しそうだなぁ、と思いますし。逆に、これから画像&音声によるコミュニケーション手段を模索しようと考えている立場から言うと、これこそ新しいTRPGのスタイルとして広めたり残したりできるものなのか、不安に駆られる気持ちの方が強いです(笑)。実際、TRPG界隈における著名な方々が、数年前から折にふれ、音声通信の良さをアピールしているにもかかわらず、まったく広まっているように見えない(一部の人々は使っていますが、TRPG界隈においてスタンダードとはとても言えない)わけで・・・。いろいろと理由があると思いますし、それをひとつずつ解決していかねばと考えているところです。うーん。これからのネットとTRPGが、どのように変化していくのか、考えるだけでわくわくしてきました。