GMブログ

2008-07-29

[]充実したセッションを行う、たったひとつの秘訣 05:38

 貴方は、充実したセッションを、行えているでしょうか。

 私は「今日は上手くいったなぁ」だとか、「楽しい時間を過ごせた」とプレイを振り返ることが出来たとき、充実したセッションを行えた、と感じます。

 当たり前のことですが、毎度プレイを行う前は、「充実したセッションを行おう」と考えて、セッションに臨んでいます。ところが、漠然と「充実したセッションを行おう」と考えていても、なかなか思うように行きません。

 また、自分がGMをする時には、当然、プレイヤーの皆にも、「充実したセッションを行えた」と感じてもらいたいものです。しかし、これが口で言うほど容易ではないことを、GM経験者の方であれば、皆さん同意していただけるのではないかと思います。

意図的に充実したセッションを行うことは難しい

 実際のところ、狙って充実したセッションを行うのは、なかなか難しいことですよね。

 誰だって、出来ることなら、毎度、充実したセッションを行いたいものです。であるにも関わらず、狙って充実したセッションを行うのが難しい事には、それなりの理由があるのでしょう。

 例えば、「今日は上手くいったなぁ」と振り返った時に、充実感を得ると言うのなら、上手くいく、とはどのようなことなのか。あるいは、「楽しい時間を過ごせた」と振り返った時に、充実感を得ると言うのなら、楽しい、とはどのような時に感じるものか。これらは、まったくもって、人それぞれとしか言いようがありません。また、その時々の環境によって、上手いと感じる要素や、楽しいと感じる事柄は、違ってくるでしょう。

 であるならば、狙って充実したセッションを行うのが難しいのは、至極当然のことのように思えます。

 したがって、充実したセッションを行うための万能の方策を探るのは、途方も無く難しいことであり、私に手のおえる問題ではありません。ひと口に充実したセッションと言っても、その意味が幅広いのです。ですから、ここでは、充実したセッションに至る筋道のひとつを挙げて、そのコツについて焦点を絞り、述べさせていただきます。

充実したセッションを行うために必要なこと

 充実したセッションを行うために必要なこととは、いったい何でしょうか。

 私は、充実したセッションを行うための、いくつかの筋道を比較するうちに、一番簡単で、最も効果的な、あるコツに着目しました。そのコツとは、達成感を感じる(感じさせる)ことです。何かを成し遂げ、達成感を感じた時、人はセッションに対して好印象を抱きます。達成感が、充実したセッションに繋がるわけです。

 では、達成感を感じる(感じさせる)ためには、何をすれば良いでしょうか。答えは簡単です。目標意識する(意識させる)ことです。目標さえ見えていれば、達成への道筋が見えてきますし、何かを成し遂げたさいに、それを明確に感じ取ることが出来ます。

おおきく振りかぶって(9) (アフタヌーンKC)

おおきく振りかぶって(9) (アフタヌーンKC)

 目標意識する(意識させる)ことの重要性を示す良いエピソードとして、「おおきく振りかぶって」のひとこまが挙げられます。主人公チームが相手チームに対して、コールド勝ちを狙うという御話です。

 この話では、ただ試合に勝つだけでなく、「コールドで勝つ」と言葉に出したことで、選手達が目標意識する場面が描かれています。

 ここで重要なのは、「コールドで勝つ」と言葉に出さなくとも、試合をすれば自然コールドになることもあり得る、ということです。しかし、結果としてコールドになった場合と、目標として意識してコールドにした場合とでは、言うまでも無く、達成感に大きな違いがあります。

PLとして、達成感を感じるために、目標意識する方法

 また、この御話では、あえて目標言葉にしたことで、選手達は戦略上のメリットに対する認識を共有しました。それによって、共通の目標(ゴール)を目指すことが可能となり、個々人がバラバラの目標(ゴール)に向かって動き、迷走する心配は無くなります。そして、誰かが失敗した時には、正しい方向に導くため、的確なフォローをすることが可能でしょう。

 一方で、目標言葉にして出さず、一人だけの目標として、心の内に抱え込んでいたなら、どうでしょう?結果が出ても、それは単なる独りよがりで終わってしまいます。しかし、この御話では、目標言葉に出し、共有したことで、達成の暁に、共同で作業を成し遂げたという、チームとしての連帯感が生まれました。つまり、個人で目標の達成を認識するだけでなく、それを認めてくれる他者が存在することで、何事かを成し遂げたという意識を、より強く確かなものとして、感じ取ることが出来たのです。

 これは、TRPGセッションにおいても同様です。PLとして、達成感を感じて、セッションを充実させたいなら、まずは目標言葉にして出し、意識することです。

自然目標認識させる仕組み

 ちなみに、達成感を感じる(感じさせる)ために、目標意識する(意識させる)というコツは、ある程度経験を積んだTRPGゲーマーであれば、無意識のうちに活用しているテクニックです。しかし、初心者が自発的に行える楽しみ方ではありません。デザイナーはこれを考慮して、TRPGシステムに、自然目標認識させる仕組みを組み込んでいます。

 いわゆる狭義のFEARゲーにおいては、セッションの内容を評価したうえで、経験点を与えるというシステムが、達成感を感じる(感じさせる)ために、目標意識する(意識させる)仕組みとして、参加者のTRPG経験の多寡に関わらず機能します。

 関連して、FEAR系のライターが、そもそも前提として「セッションが始まって、きちんと終わること」が大切であると、雑誌などでたまに書いていますね。当たり前のことだと思われるかも知れませんが、これをあえて掲げることには、それなりの意味があります。

究極の会議

究極の会議

 国際大学GLOCOM主任研究員の鈴木健氏は、著書「究極の会議」の中で、あるふたつの逸話に触れています。ある日、社長会議するときに、開口一番「この会議のゴールは何ですか?」と問われたのだそうです。また、グーグルの検索製品担当副社長のマリッサ・メイヤー氏が、会議のコツとして「明確なアジェンダを設定する」ことを挙げたと記しています。

 「究極の会議」では、このふたつの逸話を用いて、良い会議の行える条件が端的に示されます。それは、会議が始まるまでに「この会議はいったい何を議論するため(=会議のゴール)に、どのような時間の使い方をするのか」ということを、参加者意識することが重要である、ということです。

 いわゆる狭義のFEARゲーにおいて、ゴールはシステムが規定するエンディングフェイズです。アジェンダは、トレーラーやハンドアウト、オープニング・フェイズなどを通して、時にはクエストといった明確なカタチをもちながら示されます。

 このように、TRPGシステムには、ビジネスの最先端で活用される会議術にも通じる、数々の仕掛けが施されている・・・と言うと、大げさかも知れませんが(笑)、なかなか興味深い点ではないでしょうか。

GMとして、PLに達成感を感じさせるため、目標意識させる方法

 ここまで書くと、ではGMをする時には、常に目標言葉にして口に出し、PLに明示してやれば良いのだな、と考えてしまいがちです。しかし、それでは不完全ですよね。

 もちろん、「このシーンは〇〇を表現するシーンです」だとか「このシナリオで〇〇を倒して世界を救ってください」と、言葉にして、明確に目標意識させるのは、ひとつのマスタリング・テクニックと言えましょう。しかし、さらに一歩踏み込んだ技術があります。

 それは、「このシーンは〇〇を表現するシーンです」とGMが言うのではなく、「このシーンは〇〇を表現したい」とPLに言わせる、あるいは、「〇〇を倒して世界を救ってください」とGMが言うのではなく、「〇〇を倒して世界を救う!」とPCに決意させるような、目標を引き出す技術です。

 GMが次から次へと目標押し付けていては、いずれ吟遊詩人になってしまうかも知れません。一方で、PL自らが目標を設定できたなら、モチベーションは高まりますし、目標を達成したさいに感じる充実感は、さらに大きなものとなるに違いありません。

GMとして、PLの目標を引き出して、意識させる方法

 GMとして、PLの目標を引き出して、意識させたいなら、まずはキャラクター・シートによく目を通しながら、設定について対話を行うことが必要ではないでしょうか。

 キャラクターが何らかのスキルを取得していたなら、プレイヤー自身が深く意識していなくとも、潜在的に、それを上手く使うことを目標にしたいと思っているのかも知れません。また、変わった設定のキャラクター像を描いていたなら、そのキャラクターらしさを演出してみたいと思っているのかも知れません。

 実際、TRPGプレイヤーは、キャラクターの個性を活かして物語に絡もう、あるいは、戦闘で活躍しようといった、様々な目標を、プレイ前や、プレイ中に、いくつも自己設定します。どの程度意識的に行うかは、時と場合によって異なるでしょうけれど、TRPGを楽しむことに長けたベテランほど、より意識的に、より多様な目標を、自らに課す傾向があります。このエントリでは、そういった目標言葉にして、周囲に伝えることが、充実したセッションを行うための、ひとつのコツであると書きました。

 一方で、GMの立場から、これをサポートするためには、目標を、より具体的な言葉として引き出すことが重要です。

思ったことを口に出す

 大抵の場合、作りたてのキャラクターには、漠然とした設定があります。プレイヤー自身、なんとなく、こんなセッションがしたいなぁ、という希望や、セッションを通してキャラクター像を固めていこうという考えが、おぼろげながらあるはずです(もちろん、始めからきっちり仕上げてくる設定マニアな人もいますが、ここでは割愛します)。

 そこで、私がGMであれば、クールキャラクターをやるつもりなのかな、と思ったら「クールキャラクターですか?」と問います。熱血なキャラクターなのかな、と思ったら「熱血なキャラクターですか?」と問います。とても単純なことですが、ここでGMの認識を伝え、コンセンサスを得ること。そして、プレイヤーの口から言葉にしてキャラクター像を引き出すことに意味があります。

 ここまで仰々しく書きながら、「クールキャラクター」だとか「熱血なキャラクター」なんて、随分とレベルの低い話だなぁ、と思われるかも知れませんが(笑)、私は巧いGMではないので、高度で具体的な目標を的確に引き出す自信のある方は、より高いレベルトライされると良いでしょう。

 少なくとも、これはと思ったことを、どんどん口に出していくことで、プレイヤーセッションに臨むにあたっての、何らかの手助けになるはずです。プレイ中に、何がしたいのか考えてもらうためには、何が出来るのかを知ってもらう必要があるので、様々な可能性と選択肢を示す意味でも必要なことでしょう。そして、間違いなく、ここで引き出した情報は、漠然としたキャラクター設定から、魅力的で挑戦しがいのある、具体的な目標を引き出すための、材料を見つける第一歩となるでしょう

簡単なことから始める

 むしろ、目標を引き出すという行為を、仰々しく、難しく捉えずに、もっと簡単で気軽に、プレイヤーの「こんなことがしたいなぁ」といった気持ちを、言葉として引き出してあげることが大切なのだと思います。

 なんとなく、結果として「こんなこと」になった場合よりも、「こんなことがしたいなぁ」と言葉にして、「こんなこと」になった場合の方が、達成感が得られるのですから。

 加えて、「こんなことがしたいなぁ」と言葉にしていて、実際に「こんなこと」が出来たなら、「こんなこと」になったね、と指摘し、認めるのも、GMの大切な役割でしょう。前述しましたが、個人で目標の達成を認識するだけでなく、それを認めてくれる他者が存在することで、何事かを成し遂げたという意識は、より強く確かなものとなります。

 最近は、プレイヤーを褒めることを、重要なテクニックとして挙げる記事を見かけますが、闇雲に褒めても逆効果なことは、以前のエントリで指摘しました。最も効果的なプラスストロークは、プレイヤー自らが設定した目標を、プレイヤー自身が達成したと認識したときに、それを認めてあげることだと思います。

 以上。まあ、へっぽこな技術しか持たない私ですが、こんなことを考えながら、プレイしていますよ~、と備忘録がてら書かせていただきました。

 TRPGプレイヤーエスパーではありません。異なる嗜好を持った様々なプレイヤーと卓を囲む現場においては、思いを言葉にして伝えることなくして、意思の疎通はなりません。目標脳内に描いただけで通じることはないでしょう。であれば、言葉を尽くすことのみが、異なる存在が互いに理解に至るための、たったひとつの道ではないでしょうか。

 なお、このブログでは毎回のことですが、エントリで扱うコツは、ベテランの方にとって、空気を吸うのと同じくらい、無意識のうちに行っている、当たり前の技術のはずです。ですが、それを意識的に行うことで、より効果的に、また、誰もが容易にことを成せるという点で、それなりの意義と需要があるのではないかな~、と思いつつ書いております。

 それなりに使えると感じたり、もっと良いコツや、いやいや違うだろ、といった異論反論がありましたら、それをネタに、仲間内で話し合ってみてはいかがでしょうか。面白い反応があるかも知れませんよ。

[]私信 06:09

 standbyさんの件のエントリに、コメント欄がないので、私信をこちらに書きます。

 ええと、気を使わせてしまったようで、すみません。ブクマしていた人間なので、いちおう、何とも思っていないので、気にしないでいただきたい、と私信を送ります。むしろ、ブクマを外して反応のない私の行為が、気味悪かったかも知れません。だとしたら申し訳ないです。

 ブクマ前に、「あれ?これ読んだことあるぞ?」と自分のはてブで検索して、ひっかからなかったものですから、「ああ、デジャヴか」と一人納得してブクマしたのはここだけの秘密(笑)

 http://d.hatena.ne.jp/standby/20080721