GMブログ

2009-03-05

RPGにおける罰とは何か 03:33

 貴方は、ビンタ・ゲームって、知っていますか? 私、このゲームが大好きなのです。凄く面白いので、知らない人は、ぜひ覚えていってください。

 ルールを説明しますと、ビンタ・ゲームとは、酒の席で行われるのが一般的(?)な遊びです。イッキ飲みで負けた男と、じゃんけん等で負けた女性を立たせて、向かい合わせます。そして、女が何か酷いことを言いながら、男を全力でビンタする罰ゲームを行います。それだけです(笑)

 「この嘘つき!」とか「意気地なし!」あるいは「ハゲ!」「デブ!」「てめぇくせぇんだよ!」などなど、罰ゲームとして仕方が無くついた嘘か、罰ゲームにかこつけた本音なのか分からない罵倒に戦戦恐恐とし、一見ドラマティックな修羅場を、味わい深く鑑賞しながら、飲みの席に突如立ち上がる不条理さと、周囲の空気とのギャップに笑い転げる、そんな愉快な遊戯です。

 私はビンタ・ゲームを、この世で最もエキサイティングなゲームのひとつであると認識しております。成人の男女なら、誰でも簡単に出来るので、是非おためしください(責任は持ちません)。

 このビンタ・ゲームにおいて、敗北は(身も心も痛くなるうえ、見世物になるような事態は、出来れば避けたいので)回避すべき事柄です。と同時に、勝利への動機づけ(見世物を見る側に回れる)としても、罰ゲームが機能しています。罰ゲームゲーム名前になるほど、強烈なインパクトを持っているわけですね。

 そして、このゲームの良いところは、罰を受けた場合、受けた側が、ただ辛いだけではなく、ウケがとれて、それなりにオイシイという点にあります。また、特殊な趣味を御持ちの方であれば、さらに嬉しい悲鳴をあげることになるでしょう(えー)。

 「勝ったら楽しいよ」と飴をぶらさげて、「負けたら辛いよ」と鞭を構えるよりは、「負けたら貴方を含めた皆が喜ぶ奉仕活動をしてもらうよ。貴方はちょっとだけ負担が増えるけれども」と言った方が、Win-Win楽しい遊戯になりますよね。

 翻って、TRPGはどうでしょうか。

戦闘で死ぬリスクを負う必要があるのですか?

 多くのTRPGにおいて、クライマックスに待ち受けているのは戦闘です。例外もありますが、そのように運用するケースが大半でしょう。実際、TRPGルールテキストのうち、戦闘ルールが占める割合は、かなり大きなものとなっています。

 しかし、TRPGは、ひとつの醍醐味とも言える戦闘に、ある致命的な問題を抱えています。

 それは、ゲームトークンを失い、ゲームから脱落し、ゲーム目標を達成できなかったという、不満足を抱く可能性。また、ゲームトークンを失い、物語に働きかけることが出来なくなり、納得のいく物語が紡げなかったという、不満足を抱く可能性。そういった、本来楽しむために行っていた遊戯で、不満足を抱いてしまうような、本末転倒な事態を引き起こす致命的な問題です。

 遊戯であるTRPGに、何故、不満足を発生させかねない、戦闘で死ぬ(ことによるトークンの喪失という)リスクがあるのでしょうか。また、クライマックスにおけるPC側の勝率が、出来レースに近いほど高いプレイグループを多く見かけますが、PC側が負けてバッドエンドになるのが嫌ならば、いっそのこと、戦闘は必ず勝つ「ごっこ遊び」で処理し、ダイスをふらずに、いかに劇的な戦闘シーンになったか、妄想を語り合った方が、効率よく満足を得られるのではないでしょうか?

RPGは、本当に、戦闘で死ぬリスクを負う必要があるのですか?

 ・・・と、煽りっぽいことを書いておきながら、私はリスクを負うからこそ、戦闘はスリリングゲームとなるし、戦闘に敗北してもなお、そのことを踏まえて、物語を楽しむことは可能であると考えております。

 ガチ志向の人が意味を問う程に、死亡率の低い戦闘であっても、敗北の可能性が僅かでもあると認識された瞬間に、勝利時の効用は増すようにできています。何ができているのか、と申しますと、人間の脳が、そのように作られている、ということです。

 この辺のメカニズムについては、「経験豊富な人ほど満足のいくセッションが行えなくなる理由」(http://gamemaster.g.hatena.ne.jp/inouekari/20080415#1208254851)でも触れましたが、ようは事実で得られた結果が、想定される反事実よりも優れていた場合、効用が増すわけです。

 絶対に勝てる戦闘に勝っても楽しくありません。しかし、僅かでも負ける可能性があるなら、負けるという反事実が想定されるので、勝ったときの嬉しさを、よりクリアに実感できます。「負けてバッドエンドになるかも知れない!」と危機感が僅かでも感じられたなら、結果として大団円になった時の喜びはひとしお、ということです。

戦闘で死ぬ可能性なんて織り込み済みですよね

 また、TRPG物語遊戯でもあるので、ゲームトークンの喪失を即失敗と断ずることはできません。他方、新キャラを作成しての復帰や、サブマスターとして参加を続ける等、脱落からの救済措置も、このエントリを読んでいる貴方のような経験者であれば、当然のように考慮しているでしょうから、「今さら死ぬリスクが何だって言うんだよ」と、お思いかも知れませんね。まったく、そのとおりです。

 そうは言っても、やはり初心者の方などは、ゲームトークンの喪失で、ゲームがつまらない終わり方になってしまうことも、往往にしてあるでしょう。ゲームデザインの時点で、この問題に取り組むシステムを増やしていくような、セーフティーネットの整備が、されても良いんじゃないかな~、と妄想を膨らませる今日この頃

 とりあえず、「PCが死亡したらゲームから脱落して傍観すべし!」といった罰ゲームによる鞭を使うくらいなら、もう少し、皆が幸せになれる道を探した方が、良い時間を過ごせるのではないかなと。そんなことを考えるのでした。

 さて、どうでしょうか。貴方プレイグループでは、PCが死亡したPLは、どうしていますか? 仲間内で話し合ってみると、何か良いアイディアが出てくるかもしれませんね。一度あらためて、考えてみてはいかがでしょうか